温泉宿のパンフレットやホームページで「源泉かけ流し」という言葉をよく目にするが、その正確な意味を知っている人は意外と少ない。源泉かけ流しの温泉は本当に価値があるのか?循環式とどう違うのか?実際に選ぶ際の見分け方とともに解説する。
源泉かけ流しの定義
源泉かけ流しとは、地中から湧き出た温泉水(源泉)を加温・加水・循環ろ過せずに浴槽に注ぎ込み、あふれ出た湯をそのまま排出する方式のことを指す。湯は常に新鮮な状態で入れ替わるため、温泉成分が薄まらず、泉質本来の効能をダイレクトに体感できる。
これに対して「循環式」は、浴槽の湯をポンプで回収・殺菌・ろ過して再利用する方式。大型ホテルや施設では一般的な方式で、衛生管理はしやすいが温泉成分が次第に薄まる。
「加水・加温・消毒あり」の表示に注目
温泉法の改正により、2006年以降は浴槽における以下の行為について掲示が義務付けられた。
- 加水:源泉に水を加えて温度を下げること
- 加温:源泉を沸かして温度を上げること
- 循環ろ過:お湯を再利用していること
- 塩素系薬剤の使用:殺菌のために塩素を投入していること
これらの表示が「なし」または「源泉温度が高いため加水のみあり」であれば、ほぼ純粋な源泉かけ流しといえる。塩素消毒が「あり」の場合は循環式と考えてよい。
おすすめの源泉かけ流し温泉地
乳頭温泉郷(秋田県):ブナ林の中に7つの一軒宿が点在する秘境。各宿がそれぞれ異なる泉質の源泉を持ち、すべてかけ流し。「鶴の湯」の白濁した硫黄泉は特に名高い。
玉川温泉(秋田県):日本一の酸性度を誇るpH1.2の強酸性泉。大規模な湧出量と岩盤浴で知られ、湯治客が長期滞在する「本物の湯治場」として今も機能している。
草津温泉(群馬県):毎分4,000リットルを超える豊富な湧出量を誇り、すべての湯を循環なしで使える。「湯もみ」という独自の冷却法で温度を下げるのが草津流。
白骨温泉(長野県):乳白色の炭酸水素塩泉が湧き出る秘湯。時間とともに白濁するこの湯は、酸化によって炭酸カルシウムが沈殿する自然現象で、源泉の新鮮さを証明している。
かけ流しでも加水・加温が必要な場合がある
源泉温度が90℃を超える高温泉や、逆に30℃以下の低温泉では、入浴できる温度に調整するため加水・加温が必要になることがある。この場合も「最低限の加水のみ」で循環・消毒を行わないなら、かけ流しと呼べる場合が多い。大切なのは、循環とろ過・塩素消毒の有無だ。
