九州は日本の温泉の約3割が集中する「温泉王国」だ。湧出量・泉質の多様性ともに日本屈指で、個性的な温泉地が各地に点在する。観光温泉から本格湯治場まで、スタイルも多彩だ。

別府温泉(大分県)— 湧出量日本一、温泉の総合デパート

別府市の温泉湧出量は日本一を誇り、源泉数は約2,800か所。別府八湯(別府・浜脇・観海寺・堀田・明礬・鉄輪・柴石・亀川)と呼ばれる8つの温泉地域を合わせたブランドで、泉質も単純泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫黄泉など多様だ。

「地獄めぐり」は別府観光の定番。海地獄(コバルトブルー)・血の池地獄(赤)・龍巻地獄(間欠泉)など7つの源泉を観光スポットとして公開しており、温泉が持つダイナミックな自然現象を間近で体感できる。

由布院温泉(大分県)— 高原リゾートと洗練された旅館文化

由布岳の麓に広がる盆地の温泉地。「うつつの森」に象徴される、自然との調和を大切にした旅館哲学が世界的な評価を得ている。海外からの訪問者も多く、湯の坪街道の雑貨店・アート・カフェが温泉地の文化的深みを演出する。泉質はアルカリ性単純泉でやさしい湯ざわり。

黒川温泉(熊本県)— 入湯手形で露天風呂めぐり

阿蘇外輪山の山あいに位置する小さな温泉地ながら、「入湯手形」の仕組みで全国的な知名度を獲得した。一枚の手形(木製)を購入すると加盟30軒以上の旅館の露天風呂を3か所選んで入浴できる。すべての旅館が天然の露天風呂にこだわり、統一感のある黒川ブランドを形成している。泉質は硫黄泉が多く、白濁した湯が特徴。

指宿温泉(鹿児島県)— 日本唯一の天然砂蒸し風呂

薩摩半島南端の温泉地。最大の特徴は「砂蒸し温泉」で、海岸の砂を掘り、地熱で温まった天然の砂の中に体を埋めて汗をかく。砂の重みと温熱効果で発汗が促され、代謝促進・疲労回復に効果的とされる。約10〜15分の砂蒸しは「30分の入浴に相当する」とも言われる。

雲仙温泉(長崎県)— 雲仙地獄と高原の涼しさが同居する異色の温泉地

島原半島の雲仙岳山麓、標高700mの高原に広がる温泉地。噴気と泥湯が噴き出す「雲仙地獄」は迫力満点の観光スポット。泉質は硫黄泉・酸性泉で、夏でも涼しい高原性気候の中での温泉入浴は快適だ。

九州温泉旅の回り方

  • 2泊3日なら:別府(1泊)→由布院(1泊)がゴールデンルート。JR九州の特急「ゆふいんの森」で移動も楽しい。
  • 4泊5日なら:上記に黒川(1泊)と指宿(1泊)を加えると九州温泉の多様性を体感できる。
  • レンタカー推奨:黒川・指宿はバスの本数が少ないため、車での移動が効率的。