「日本三名泉」とは、江戸時代の儒学者・林羅山が詠んだとされる草津・有馬・下呂の三温泉地を指す。それぞれ異なる泉質と文化的背景を持ち、長い歴史の中で多くの旅人を癒してきた。三か所を巡れば、日本の温泉文化の奥深さをひと通り体感できる。
草津温泉(群馬県)— 酸性の強さと湯畑の迫力
草津温泉の泉質は強酸性の硫黄泉で、pH2前後という強烈な酸性度が特徴だ。殺菌力が非常に高く、「効く湯」の代名詞として知られる。観光の中心「湯畑」では、毎分4,000リットル以上もの源泉が自然湧出しており、その迫力は圧巻。湯畑周辺には無料で入れる足湯や共同浴場「白旗の湯」などもあり、宿泊者でなくても湯の文化に触れられる。
独自の入浴法「時間湯」も草津の文化。約50℃の高温湯に3分間浸かる伝統的な入浴法で、かつては湯長と呼ばれる職人が進行していた。現在も一部の施設で体験できる。
有馬温泉(兵庫県)— 金泉・銀泉の二刀流、豊臣秀吉も愛した名湯
有馬温泉は大阪・神戸から電車で1時間以内というアクセスの良さながら、日本最古の温泉地のひとつとして格式を誇る。泉質は「金泉」と「銀泉」の2種類。金泉は塩化物泉・含鉄泉で、鉄分を含む赤茶色の湯が特徴。保温・保湿効果が高く、疲労回復や冷え症に効果的とされる。銀泉は炭酸泉・ラジウム泉で透明だが、ラドン含有量が高く湯治向きとされる。
豊臣秀吉がたびたび訪れたことでも有名で、「太閤の湯殿館」では発掘された秀吉の湯殿跡を見学できる。温泉街の石畳と風情ある旅館が並ぶ景観も魅力だ。
下呂温泉(岐阜県)— 肌にやさしいアルカリ性単純泉
下呂温泉の泉質はアルカリ性単純泉で、pH8.8という高アルカリの「とろみのある湯」が特徴。美肌効果が高く、「美人の湯」としても名高い。無色透明で刺激が少ないため、肌が敏感な方や初めて温泉を試みる方にもおすすめだ。
飛騨川沿いに広がる温泉街は情緒豊かで、川床からも湯が自然湧出している「噴泉池」は入場無料の足湯スポットとして旅人に親しまれている。飛騨牛を使った料理も名物で、グルメと温泉を両立できる点もポイントだ。
三名泉を選ぶポイント
- 泉質の刺激を求めるなら:草津(強酸性・硫黄泉)
- 歴史・文化体験を重視するなら:有馬(金泉・銀泉・太閤ゆかりの地)
- 美肌・ゆったり湯治なら:下呂(アルカリ性単純泉)
